HOME > WEB MAGAZINE > Books On The Table #5

大好きな男の子を紹介しましょう。


名前はチト。ミルポワルという町に生まれました。
お父さんは背が高くスマートで、お母さんはほっそりと美しく、そしてふたりは大金持ちでした。
けれど、わたしがチトを好きな理由は裕福だからではけっしてありません。
チトはとてもやさしい心の持ち主でした。


この本のタイトルでもある「みどりのゆび」は彼の特別な親指のこと。
隠れている草花の種を見つけ、あっというまに芽吹かせることのできる不思議な力を備えています。
少年ながらも聡明なチト(おとなたちはこれを変わり者と呼んだりするのですが・・・)、
その力を世の中のために発揮させます。例えば、病院に花園をつくり生きる喜びを与えました。
刑務所にできた花壇は囚人たちに園芸の楽しさと明るさを教えました。
遠い国の戦場にもチトの力が花咲きます。


「ぼくすばらしいことをみつけたんだ。花って、さいなんがおこるのをふせぐんだよ。」
とはチトの言葉。


植物が困難を乗り越えさせてくれる、なんてまるでおとぎ話のようだけれど、
花瓶に挿した一輪の花に、近所の庭先の植木に、
道端の雑草に救われたことは誰でも一度はあるはずです。
わたしはそんなときに小さなチトのみどりのゆびをいつも思い出すのです。